マンション リフォーム・リノベーション

中古マンションのリフォーム費用をローンで借りるときの注意点

中古マンションの流通量が今まで以上に増えてきている不動産市場において、リフォームやリノベーションを中古マンションの購入と合わせて行う方が増えてきています。

特にデザインを大きく変更するリノベーションなどは、中古でありながら注文住宅のような楽しさもあり、若者を中心に支持を集めています。

しかし、リフォームの費用をローンで賄いたいと考えているのであれば、利用にあたっていくつかの注意点があります。ここでは、中古マンションのリフォーム費用をローンで借りるときの注意点について説明していきます。

リフォーム費用のローンは住宅ローンと一体型を選ぼう

リフォーム費用の資金計画を考えたときに、自己資金で賄う場合や、借り入れに頼るなど、様々な方法がありますが、リフォーム費用をローンで賄うと考えているのであれば、ぜひ「住宅ローン一体型」を検討するようにしましょう。

今は住宅ローンにも様々なタイプが登場し、使いやすさもかつてより格段に向上しています。リフォーム金額にもよりますが、大きな費用になる場合は、ぜひこれから説明することを参考にしてください。

リフォーム費用一体型の住宅ローンとは?

「住宅ローン一体型」とは住宅ローンとリフォームローンを別々で借りるのではなく、住宅ローンと合わせてリフォーム費用も借りれる住宅ローンのことです。

一昔前では、住宅ローン一体型の商品はほとんどなく、リフォーム費用をローンで賄うときは、住宅ローンとは別にリフォームローンを借りるしかありませんでした。

リフォームローンは年数も最長で15年と短く、金利も住宅ローンと比べると高めに設定されていて、住宅ローンと合わせた月々の支払額は生活費にとって大きな負担になっていました。

しかし、近年住宅ローンにリフォーム費用も含めることができるようになり、リノベーションブームの火付け役として機能しました。

ですから、月々の支払のことを考えれば、リフォーム費用も住宅ローン一体型に含めた方がいいとなるわけです。

リフォーム・リノベーション向き物件を探すときの注意点は、関連記事「リノベーション向き中古マンション探しで、やってはいけない3つこと」も合わせて参照ください。

リフォーム費用を住宅ローンで借りるメリット・デメリット

リフォーム費用を住宅ローンで借りるメリットは、やはり何といっても月々の支払いを安く抑えることができることです。

例を出して考えてみましょう。

モデルケース

中古マンション購入費:3,000万円
リフォーム費用:500万円

別々のローンで借りた場合

住宅ローンの条件:借入額3,000万円、借入期間30年、金利1.5%
リフォームローンの条件:借入額500万円、借入期間15年、金利2.5%
月々の支払額:103,536円+33,340円=136,876円

一体型で借りた場合

住宅ローンの条件:借入額3,500万円、借入期間30年、金利1.5%
月々の支払額:120,792円

このように月々の負担額が変わってくるので、リフォームやリノベーション費用が高額になるほど、月々の負担が軽くて済むようになります。

反対にデメリットとしては、長く借りられるから費用が必要以上に膨らみ過ぎてしまうこともあります。例えば30年の住宅ローンに組み込んだとしても、将来的にリフォームは発生してきます。

長く借りるということは、将来に費用負担を先延ばしにすることになるので、注意が必要です。

リフォームローンでも住宅ローン控除が受けられる

実はリフォームローンも一定の条件を満たせば、住宅ローン控除の対象になります。住宅ローン残高の1%が10年間にわたり戻ってくる制度なので、借りる方の収入や借入金額にもよりますが、割と大きい金額になります。

住宅ローン控除をはじめ、税制優遇などの制度については、別記事「中古住宅購入時に利用できる補助金・助成金・減税の一覧」も合わせて参照ください。

リフォーム費用を住宅ローンで借りる時の注意点

リフォーム費用を住宅ローンと一体として借り入れるときは、中古マンションのみの住宅ローンと違い、気を付けるポイントがいくつかあります。ここからはその注意点について説明していきます。

審査のスケジュール感を意識する

通常の中古マンションのみの場合であれば、事前審査の時は物件の資料だけで大丈夫ですが、リフォーム費用も合わせて借りる場合、別途リフォーム費用の見積もりが必要になります。

事前審査では、どちらかといえば「枠を押さえる」という意味合いが強いので、概算でも構いませんが、大掛かりなリノベーションだと概算を出すのにも時間がかかることもあり、枠を取ったものの足りなくて後から出し直しになることもあります。

また人気の物件などでは、他からも商談が入ることもあります。複数の商談が入った場合は、事前審査が通っている人が優先されるケースもあるので、スケジュール感を意識することが重要です。

無事契約が終わっても、次に行う住宅ローンの本審査の時までには確定した金額と、請負契約書が必要になるので、かなりスケジュールがタイトになります。

内容によっては先にリフォーム・リノベーション業者を探しておく

表面的な修繕を中心とした一般的なリフォームであれば、価格にも相場があり比較的早く見積もりを作ることも出来ますが、デザイン性が高いリノベーションの場合は、特殊性が高く、見積もり作成にも時間がかかります。

ですから、もしそういった特殊性の高いリノベーションを考えているのであれば、デザイナーやリノベーション業者を先に探しておいた方がスムーズにいく場合もあります。

決済のタイミングに気を付ける

次に住宅ローンの決済のタイミングに注意が必要になります。

リフォームの内容によっては工事業者から先に工事代金の半金を求められるケースもあります。これは工事業者も設備などを購入する費用などが必要なためで、建て替える費用が工事業者でも発生するからです。

しかし、金融機関によって取り扱いは異なるものの、リフォーム代金の支払は工事が完了してからというところもあります。

そのような時、事前の工事業者への支払いをどうするのか、なるべく早いタイミングで打ち合わせておく必要がります。工事業者も話が分からないわけではないので相談には応じてもらえます。

建築業者の免許の有無

また軽微なリフォーム工事であればともかく、請負金額が税抜き価格で500万円を超える場合は、建設業の許可が必要になります。

金融機関によっては請負価格が500万円以下であっても、リフォーム業者に建設業の許可を求めてくるところもあります。

またトラブル防止の観点からも、建設業の許可のある工事業者を選ぶようにしましょう。

住んでいなくても、住宅ローンの支払い始まる

リフォームやリノベーションが大規模になればなるほど、一般的には工事期間も長くなります。工事期間が長くなって実際にはまだ住んではいなくても、物件の引渡しは受けているので、住宅ローンの支払いは発生します。

なおかつ、もともともお住まいが賃貸であって場合、そこの居住費用も発生し、二重の支払いが発生する期間が発生します。
こういった費用もあらかじめ諸費用として計上しておくことが重要です。

 

住宅ローン控除を受ける時の注意点

先ほどメリット・デメリットのところで少し触れましたが、リフォームに関わる費用については、一定の条件を満たす場合、住宅ローン控除を利用することができます。

ここからは住宅ローン控除をリフォームローンで受けるための条件や注意点について説明していきます。

適用される条件を知っておこう

まずリフォームローンが適用できるのは、個人が増改築等をした場合のみです。法人は適用外です。その他住宅ローン控除の適用に必要な条件は以下のものになります。

(1) 自己が所有し、かつ、自己の居住の用に供する家屋について行う増改築等であること。
(2) 次のいずれかの工事に該当するものであること。
(3) 増改築等の日から6か月以内に居住の用に供し、適用を受ける各年の12月31日まで引き続いて住んでいること。
(注)  個人が死亡した日の属する年にあっては、同日まで引き続き住んでいること。
なお、居住の用に供する住宅を二つ以上所有する場合、控除の適用対象は主として居住の用に供する一つの住宅に限られます。
(4) この特別控除を受ける年分の合計所得金額が、3千万円以下であること。
(5) 増改築等をした後の住宅の床面積が50平方メートル以上であり、床面積の2分の1以上の部分が専ら自己の居住用に供するものであること。
(注) この場合の床面積の判断基準は、次のとおりです。
1  床面積は、登記簿に表示されている床面積により判断します。
2  マンションの場合は、階段や通路など共同で使用している部分(共有部分)については床面積に含めず、登記簿上の専有部分の床面積で判断します。
3  店舗や事務所などと併用になっている住宅の場合は、店舗や事務所などの部分も含めた建物全体の床面積によって判断します。
4  夫婦や親子などで共有する住宅の場合は、床面積に共有持分を乗じて判断するのではなく、ほかの人の共有持分を含めた建物全体の床面積によって判断します。
ただし、マンションのように建物の一部を区分所有している住宅の場合は、その区分所有する区画の床面積によって判断します。
(6) その工事費用の額(平成23年6月30日以降に増改築等に係る契約を締結し、その増改築等の費用に関し補助金等の交付を受ける場合はその額を控除した額)が100万円を超えており、その2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること。
(7) 10年以上にわたり分割して返済する方法になっている増改築等のための一定の借入金又は債務があること。
一定の借入金又は債務とは、例えば銀行等の金融機関、独立行政法人住宅金融支援機構、勤務先などからの借入金や独立行政法人都市再生機構、地方住宅供給公社、建設業者などに対する債務です。ただし、勤務先からの借入金の場合には、無利子又は0.2%(平成28年12月31日以前に居住の用に供する場合は1%)に満たない利率による借入金は、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。また、親族や知人からの借入金は、この特別控除の対象となる借入金には該当しません。
詳しくはコード1225(住宅借入金等特別控除の対象となる住宅ローン等)を参照してください。
(8) 居住の用に供した年とその前後2年ずつの5年間に、居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例など(租税特別措置法31条の3第1項、35条1項(同条3項の規定により適用する場合を除きます。)、36条の2、36条の5若しくは37条の5又は旧租税特別措置法37条の9の2)の適用を受けていないこと。

そのほか、中古住宅の購入と合わせてリフォームをするケースは、物件についても住宅ローン控除と同じように以下尿のうな物件の条件を満たす必要があります。

・木造などの住宅の場合、20年以内に、鉄筋コンクリート造や鉄骨鉄筋コンクリート造など耐火構造の場合、25年以内に建築されていること
・建築士事務所の建築士や、一般財団法人日本建築センターなどの指定確認検査機関などによって、現行の耐震基準を満たしていることを示す耐震基準適合証明書が発行されること
・一般財団法人ベターリビングなどの住宅性能評価機関により実施された既存住宅の性能評価において、耐震等級1以上が確認されること
・既存住宅売買瑕疵保険に加入していること

事前に業者に必ず相談しておく

住宅ローン控除を受けるにあたって気を付けたいのは、あらかじめリフォーム業者に相談しておくことです。

住宅ローン控除を受けるために必要な書類の発行は、建築士の資格者が行い、事前に書類などを準備しておく必要があります。

あとから受けようと思っても、書類や資料が足りなくて受けることができないことも十分あり得るので、事前の打ち合わせをしっかりしておくようにしましょう。

 

まとめ

一言で住宅ローンにリフォーム費用を組み込むといっても、いろいろと注意することあることをお分かりいただけたでしょうか。

これらのポイントをしっかり押さえておかないと、狙った物件が他の人に取られてしまったり、住宅ローン控除が適用されなかったりすることもあるので、気を付けてください。

もし中古マンションの購入と合わせてリフォームやリノベーションを行い、その費用を住宅ローンで賄いたいのであれば、事前に不動産エージェントに相談するようにしましょう。

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  • この記事を書いた人
宮田明典(スタイルイノベーション株式会社)

宮田明典(スタイルイノベーション株式会社)

スタイルイノベーションの代表であり、不動産業界歴10年以上のトップエージェント。 購入者側の仲介業者であるバイヤーズエージェントとして多くの顧客から指名買いを受けている。 現在は、全国の担当者(不動産エージェント)が探せるサイト「HOUSECLOUVER(ハウスクローバー)」を企画・運営。

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