マンション リフォーム・リノベーション

リノベーション向き中古マンション探しで、やってはいけない3つこと

中古マンションを探すうえで、物件によってはリノベーションという選択肢もあります。人によっては最初からリノベーションを前提とした物件探しをする方もいらっしゃるのではないでしょうか。

ここでは、これからリノベーション向き中古マンションを探す方にとって、ぜひ知っておいて欲しい基本的な知識や、絶対にやってはいけないこともお伝えします。

リノベーション向き中古マンションに関する記事については色々ありますが、そういった記事に加えて、資産価値を意識した物件探しをお手伝いしている不動産のプロから見た視点も取り入れているのことが他の記事とは少し違ったものだと思います。

これから中古マンションを購入してリノベーションをしたいとお考えの方は、ぜひ一読ください。

今すぐ家探しのポイントを体系的に知りたい方へ、「住宅購入で絶対失敗しないための3つの方法」をプレゼントしています。

リフォームとリノベーションの違い

まずは基本的なお話ですが、リフォームとリノベーションについて説明します。ご存知の方も復習がてら読んでいただければ幸いです。

まず、リフォームとリノベーションの明確な違いというのは実は存在していません。理由としては、リフォームは、改革や改心をするといった意味で、建築用語ではありません。英語圏の国では、日本でいうところのリフォームやリノベーションは、すべて「リノベーション」と呼ばれています。

明確な線引きはないものの、ここ最近の風潮では、リフォームは表層的にきれいにする工事で、リノベーションが間取り変更やスケルトン状態にして内装を作り直すなど、比較的大規模な工事のことを指すことが多いです。

この記事でお伝えしていくリノベーションは、表層的なリフォームではなく、比較的大規模な工事を前提としています。

別記事の「リノベーションの意味とリフォームとの違い」も合わせてご参照いただくと、より理解が深まります。

リノベーション向き中古マンションとは?

リノベーション向き中古マンションとは、流通している中古マンションのうち、比較的リノベーションに向いているという性格の物件です。

まずリノベーション向きと言われる中古マンションにとって一番のポイントは、リフォームなどが施されていない、前の住んでいた人が引っ越した状態の物件です。

その他、構造的にリノベーションに向くものと向かないものがあります。ここからはリノベーション向き中古マンションの特徴と探し方について詳しく説明していきます。

リノベーション向き物件の探し方

多くの方は物件を探すときは、ポータルサイトと呼ばれる、SUUMOやAtHomeなどの物件情報の総合サイトを利用するのではないでしょうか。

これらのポータルサイトでは、基本的に「リノベーション向き」という検索項目はありません。ですので、物件情報を見ながらリノベーション向きかどうかを見極めていくことになります。

ポータルサイトでのリノベーション向きの中古マンション探すコツ

まずポータルサイトで物件を探すとき、「リフォーム済み」や「リノベーション済み」と書いてある物件は除外しましょう。リフォーム済みやリノベーション済みの物件はすでに内装工事が施されていて、その分費用に転嫁されています。そこからさらにリノベーションをすると二重費用になって、割高になってしまいます。

次に「居住中」と書いてある物件は、リノベーション向きである可能性が非常に高いです。なぜなら人が住んでいれば基本リフォームがされておらず、年数も経っていれば内装も傷んでいて、その分、市場価格よりも安く販売価格が設定されていたり、価格交渉がしやすい可能性が高いからです。

そして「空き家」と書いてある物件については、最終的には実物を見てみないと何ともいえませんが、ポータルサイトの情報でもある程度予測は出来ます。

まず室内の写真がどれだけ載っているかどうか。空き家なのに写真が室内の写真が少ないのは、室内の状態があまり良くないので、乗せてしまうと逆に問い合わせが来なくなる可能性が高いと掲載をしている不動産会社が判断している可能性が高いです。ですから空き家でも、写真が外観と間取り、室内でほんの数枚などといった空き家物件もリノベーション向き中古マンションである可能性が高いといえます。

ポータルサイトでリノベーション向き物件を探す際は、ぜひこれらのことを参考にしてください。

構造がリノベーションに向いている物件と向かない物件

その他、そもそもリノベーションに向く構造と向かない構造があります。マンションには建物の構造が2種類あります。

  • 一つが、柱と梁(はり)で建物を支える構造となっている「ラーメン構造」。
  • もう一つが、壁全体で建物を支える構造となっている「壁式構造」。

この二つのうち、リノベーションに向くのは「ラーメン構造」です。壁式構造は建物全体を壁で支える構造のため、間取り変更にかなり制限があることが多いです。

こればかりは専門家が見ないと分からないと感じるかもしれませんが、実はポータルサイトでもある程度の見分けができます。

どうやって見分けるのかというと、建物の階数です。ラーメン構造のマンションはどちらかといえば低層マンションによく採用されている構造です。中古マンションで4階建てや5階建てくらいまでのたてものは、ラーメン構造である可能性が高いです。

大胆な間取り変更を希望するのであれば、こういった低層マンションは避けた方が無難かもしれません。

 

リノベーション向き中古マンションを探すときに、やってはいけない3つのこと

それではリノベーション向き中古マンションを探すポイントを説明したことろで、今度は絶対にやってはいけない3つのことについてお伝えしていきます。

非常に重要なポイントであり、かつリノベーション業者によっては教えてくれないこともありますので、自己防衛的な観点からもぜひ覚えておいてください。

優先順位を間違える

ここでいう優先順位は、総額の予算があって、マンション代金とリノベーション代金のどちらの予算を先に考えるかという意味です。

正しい順番は、総額の予算があって、次にマンション代金、最後に余った予算をリノベーションに回すという考え方です。

そして間違った順番は、総額の予算があって、リノベーションの予算をひいて、物件を探してしまうことです。

なぜ優先順位を間違えてしまうことが、絶対にやってはいけないことなのかというと、限られた予算の中でリノベーション予算を先に引いてしまうと、安い物件、つまり資産価値に乏しい中古マンションを購入してしまう可能性が高いからです

これから少子高齢化が進み、人口は減っていきます。またすでに家は余っているのにいまだに新築マンションが市場に出ています。

そんな中、これからの不動産は価値が残るものと、残らないものに二極化していきます。

その動きはすでに始まっていて、資産価値が保たれやすい中古マンションは今でもそれなりの価格がついています。

逆に資産価値に問題がある中古マンションは、すでに価格が落ちていて、買い求めやすい価格で売られていたりします。

マンションとリノベーションの関係は、「ハード」と「ソフト」の関係によく似ています。ソフトにどれだけお金をかけても、ハードに価値がなければ無価値なのです

この点は、リノベーション業者はあくまでリノベーションありきで話をしてきますので、しっかりとした判断基準を持つようにしてください。

旧耐震基準の物件を選ぶ

優先順位を間違えるときにありがちなのが、旧耐震基準の中古マンションも選択肢にいれてしまうことです。

たしかに立地もいいところにある旧耐震基準の中古マンションは、それなりに価格も安く魅力的に映ります。

しかし旧耐震基準の中古マンションは、安全性に不安があるという理由もありますが、不動産のプロから言わせてもらえば「資産価値的にアウト」です。なぜ資産価値的にアウトなのか?それは以下の理由が考えられます。

関連記事「旧耐震の中古マンションでフラット35は使えないのか?」

銀行の融資姿勢が厳しくなってきている

不動産はローンが付くかつかないかで、売れるか売れないかが変わってくるので、金融機関の方針は不動産市場にとって非常に大きな影響を与えます。

その金融機関のトレンドとして、旧耐震基準の物件への融資姿勢は厳しくなってきています。

新耐震基準の物件には、最長35年ローン、物件価格の100%まで住宅ローンが借りられる金融機関が多いのですが、旧耐震基準の物件になると急に厳しくなります。

このトレンドは何を意味するのか?それは、将来、旧耐震基準の物件が売れにくくなることを意味します。物件が売れにくくなるということは、買える人が減るということなので、その物件は価値を落とします。

これが銀行融資の姿勢によるところで、資産価値的にアウトと考える理由です。

住宅ローン減税などの優遇制度が利用できない

他にも旧耐震基準の中古マンションは、住宅ローン減税をはじめとする各種優遇制度が利用できません。

中古マンションであれば築年後要件として、建築後25年以内であれば無条件で利用できますが、築年後25年を超えていても新耐震基準でなおかつ検査済証があれば、ほとんどのケースで税制優遇が利用できます。

参照「中古住宅購入時に利用できる補助金・助成金・減税の一覧」

しかし、旧耐震基準の中古マンションでは、検査済証があっても、耐震改修工事などを行い現行の耐震基準に適合していると判断できなければ利用できません。

住宅ローン減税でも数百万円にもなる税制優遇で、住宅購入時の贈与の非課税枠などにもかかわってきますので、旧耐震基準の中古マンションはそれだけで敬遠されることが今後多くなると予想されます(今でも敬遠されています)。

これらの理由から耐震基準の中古マンションは資産価値的にアウトなのです。リノベーション業者によっては、こういった事実をあえて伝えずに契約欲しさに勧めていこうとするところもあると思います。

もし、リノベーション業者が旧耐震基準の中古マンションを勧めてきたら、その時点で「ナシ」と判断してもいいくらいだと思います。

管理組合の状態を考慮しない

そして3つめの絶対にやっていけないことは、管理組合の状態を見極めないことです。

立地やリノベーション向きかどうかは、マンション選びにおいて重要な要素ですが、「マンションは管理を見て買え」という格言があるくらい、管理状態が物件の良し悪しを決めます。

マンションの管理状態が良くないと、将来修繕積立金が足りなくなり、大幅な値上げや一時金などが発生する可能性が高くなります。

また修繕積立金が高い物件は市場に売りに出された時に敬遠される傾向にもあるので、資産価値的にも良くありません。

管理組合の状態を見極めることについては、一般の消費者には多少ハードルも高く、プロの不動産業者のサポートが必要になります。

しかし管理状態の見極めが出来ない、出来てもしたくないという不動産業者やリノベーション業者も多く存在します。あなたにとって本当に価値提供をしてくれるパートナーを探すようにしてください。

中古マンション探しについての注意点については、関連記事「中古マンションを購入するときの注意点を徹底解説」も合わせて参照ください。

ワンストップサービスはあり?

中古マンションを買ってリノベーションをするのであれば、リノベーション業者の選定は非常に重要なプロセスだと言えます。

出来れば中古マンションを探す前には時間的な関係からいってもリノベーション業者を先にみつけておくべきです。

そんな中でリノベーション業者でありながら、不動産業の免許をとって、ワンストップサービスを提供している業者も多く存在します。

一見便利なサービスなのですが、これまでお伝えしてきたように、リノベーション業者は、中古マンションの仲介よりも利益率の高いリノベーション工事の受注が目的です。

そうなると、優先順位を間違えるようなリードをされてしまったり、本当に見極めなければいけないポイントもスルーされる可能性がどうしても高くなります

手間にはなりますが、そういった視点をもった不動産業者と、リノベーション業者はあえて別々にした方が、あとから後悔するリスクは減ると思います。

大きな価格の買い物なので、手間を惜しまず、失敗して後悔することがないようにしたいですね。

リノベーションプレミアムに注意する

リノベーションには、もう一点気を付けておいて欲しいことがあります。それは、自分にとっての100%は他の人にとっても100%ではないということです。

リノベーションはまさに自分にとっての100%を中古マンションで実現する手段です。しかし、どれだけお金をかけても、市場で売りに出したときに、かかった費用分がそのまま評価されることはありません。

この価格差のことを新築マンションが中古マンションになった瞬間に値を下げる「新築プレミアム」にちなんで、「リノベーションプレミアム」と呼んでいます。

誰にとっても70%とか80%くらいの物件が実は一番値がつきやすいのです。だからといってリノベーションをし過ぎないようにというつもりはありません。

リノベーションプレミアムを理解して、そのうえであなたの価値観に沿って決めていただければいいのではないかと思っております。

制約があるからこそリノベーションが活きる

リノベーションを考えるときは、予算面であったりとか、構造面などで、多くの制約があります。

お金をかければそれだけ多くのことが出来ますが、多くの人は予算面でも制限がある場合がほとんどです。

そんな制限がある状況の方が、実は面白いアイディアが出てきたりします。限られた予算や制限の中で、どこまで出来るかがリノベーションの真骨頂なのではないかなと考えたりします。

すべてをリノベーション業者に発注しなくても、プロでないと出来ないような作業はプロに依頼して、自分たちで出来そうなところはDIYにして費用を削ることだって出来ます。

ぜひ制限がある中だからこそ、リノベーションを楽しんで、あなたの望む豊かな暮らしを叶えていただければいいのではないでしょうか?

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  • この記事を書いた人
宮田明典(スタイルイノベーション株式会社)

宮田明典(スタイルイノベーション株式会社)

スタイルイノベーションの代表であり、不動産業界歴10年以上のトップエージェント。 購入者側の仲介業者であるバイヤーズエージェントとして多くの顧客から指名買いを受けている。 現在は、全国の担当者(不動産エージェント)が探せるサイト「HOUSECLOUVER(ハウスクローバー)」を企画・運営。

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