2020年、オリンピックを予定していたその年末年始から中国での新型コロナウィルスが世界中に感染拡大し、全く予期していなかった世の中が訪れました。
今現在、この記事を執筆している時点(2021年12月)では、日本での新型コロナの状況は落ち着いてはいるものの、世界中を見渡せば予断をを許さない状況が続いております。
そんな中で名古屋市で中古マンションの購入を検討されている方もいらっしゃると思います。
現在のような状況下、どのようなことが今後起こり得るのか。またどのようなことに気をつけて中古マンション購入を進めていけばいいのかについて、様々な角度から徹底解説していきます。
名古屋の中古マンションの値動きの推移
これまでの名古屋市の中古マンションの値動きは以下のようなデータが出ています。
(中部レインズ 中部圏市場動向 愛知県中古マンション成約推移)
こちらのグラフを見ていただくと分かりますが、2020年3月〜5月まで続いた1回目の緊急事態宣言時に一時的に相場は落ちましたが、その後からは一貫して上昇しています。
新型コロナが流行し始めた2020年の時には、2021年になれば新型コロナの影響で相場は下がるのではないかと予想していた方もいらっしゃいました。
私も下がることはないとは考えていましたが、今回の値上がりは予想していませんでしたし、他の業者との情報交換の中でも上がると考えている方はほとんどいませんでした。
※2020年6月25日に公開された動画です。
コロナの影響は?
様々な業界に大きな影響を与えている新型コロナウィルスですが、不動産業界にも大きな影響が出ています。
元々コロナによる不況で住宅ローンを払えなくなる人が多くなり、任意売却や競売などが増えることから相場が落ちると考えていた方も多かったのですが、実際にはそのようなことは例年と比べても多く発生しませんでした。
理由として、まず一つは、政府による補助金や助成金など。
これについては賛否はあったものの、倒産率の上昇を抑えることができたなど一定の効果はあったと思います。
もう一つの理由としては、減免制度の災害認定に新型コロナウィルスが含まれたことがあります。
減免制度とは?
減免制度は平たく言えば、災害により収入が減ったり、債務の対象であるものが被災した場合などに、一定の条件の元、債権を全額もしくは一部免除するという、救済制度です。
初めて特別法として制定されたのが東日本大震災の時で、津波で家を流されて住宅ローンだけが残ってしまったという事案が数多く発生し、生活再建の妨げになることから施行されました。
そして熊本大震災の時に法制度化され、今に至ります。ちなみにこの制度では住宅ローンだけでなく、車など他のローンも対象となっています。
その減免制度の災害に今回の新型コロナが含まれたのです。
内容は新型コロナによって大きく収入が減少し、住宅ローンを払っていけないとなった時に、売却をしてもローンが残ってしまうことがあった場合に、その残債部分が減免の対象になるというものです。
この制度がどれだけ利用されたかは分かりませんが、所有者にとっては家を売ってチャラにすることができた制度だったため、一定の役割を果たしたのではないでしょうか。
このような状況から、不動産市場の相場は新型コロナによって下がることはありませんでした。
むしろその逆で相場が上昇するという結果になりました。
その理由と今後の予測について次の段落でお伝えしていきます。
2022年、名古屋の中古マンション相場は上がる?下がる?
それでは、2022年の名古屋の中古マンション相場はどのようになるのでしょうか?
個人的な見解ですが、「どこまで上がるかは分からないが下がる要素は少ない」というのが今現在の見解です。
新築マンションが値下がりしない
まず中古マンションの価格はある程度、新築マンションと価格の連動性があります。
新築マンションが高くなれば、人が中古マンションに流れて相場が上がるからです。逆も然りです。
現在の新築マンションは土地相場の高騰、材料費の高騰、建築人件費の高騰のトリプル高によって、過去の履歴を見ていても最高額に近い水準です。
またかつての新築マンションは完成と同時に完売というスタイルが一般的でした。そのため完売させるためなら多少割り引いても販売をしていましたが、ここ最近の傾向は時間がかかっても値段を下げずに販売するというスタイルが定着しています。
ディベロッパーも大手メジャーセブンをはじめ財務体力のある業者がほとんどで、尚且つ金融危機も起こっていない。
つまり新築マンションが下がらなければ、中古マンションが下がる理由がないのです。
中古マンションは不足気味
現在、新型コロナの影響を受けているのが中古マンションの在庫量です。
(中部レインズ 中部圏市場動向 愛知県中古マンション成約推移)
こちらのグラフを見ていただくと、棒グラフの件数が11月から一貫して下がっているのがわかると思います。
7月頃からやや持ち直したものの、それでもコロナ前から比べると随分減っています。
またそれにつられて在庫の販売価格が上昇しているのがわかると思います。
これは、新型コロナの影響で人の動き(転勤や転職など)が大幅に減ったことが影響しています。
人が動かなければ中古マンションが売りに出されることが減ります。
現在(2021年12月現在)は、日本の新型コロナの状況は落ち着いていますが、世界的な状況を見ている限り、余談は許さない状況です。
この新型コロナが落ち着かない限りは中古マンションの在庫量も増えることはなさそうです。
名古屋を取り巻く経済状況
新型コロナの影響が出ている業界とそうでない業界がはっきり分かれていて、全体としては決して良い市況環境とは言えません。
しかし過去の不景気と大きく違うのは、金融機関がほとんど影響を受けていないことです。
過去のバブル崩壊の時期やリーマンショックの時は、不景気とともに金融機関も大きな影響を受けました。
金融機関の財務状況が悪くなれば、不動産に対する融資は絞られますから、不動産市況も冷え込んでいくのですが、今回は日本をはじめ各国政府が市場に大量のマネー供給を行ったことから金融機関はほとんど影響を受けていません。
それはここ名古屋市でも同じことで、金融機関が影響を受けていない限りは不動産市況に影響はほとんどありません。
このように、基本的には下がる要素は現在のところほとんどなく、2022年の名古屋市の中古マンション相場の予想は上がる、もしくはこのまま下がらない、というのが基本的な考えです。
相場に悪影響を与える3つの要因
ここまでは、過去の名古屋の中古マンション市場を振り返り、今後の予測を立ててきました。
しかし、下がることがないかと言われれば全くそういうわけではなく、懸念事項もあります。
これが相場を予想することが難しいと言われる所以ですが、ここからは市場を下げる可能性がある懸念事項について説明していきます。
要因①:スタグフレーションによる金利上昇
現在新型コロナが落ち着く状況ではないですが、世界各国は経済を動かし初めています。
その結果、世界中で需要が急回復し、モノが足りない状況になっています。
物不足は物価の上昇という形で現れています。
日本は長らく物価が低い状態(デフレ)が続いていますが、世界では物価が上昇している状態(インフレ)が発生しています。
一時期話題になったウッドショックも本質はこの物価の違いです。
日本は色なんなものを輸入に頼っていますので、現在この影響を受けて物価が上昇しています。
本来、物価が上がるときは、他の諸外国のように景気が良くなって、給料が上がり物価も上がっていくのですが、今の日本は景気が悪く給与も上がらない中での物価上昇です。
これを経済用語でスタグフレーションといい、景気が悪いのに物価が上がる状況のことを言います。
また物価が上がって最も懸念されるのが、金利上昇です。
特に物価に連動している短期金利は日銀が決定権を持つ政策金利と言われますが、物価水準によって変動します。
短期金利は変動金利の元になっている金利で、現在は物価が安かったからこその低金利ですが、物価が上がってこれば政府としても金利を上げざるを得ないのです。
実はこのことは私は新型コロナが発生した当時からスタグフレーションの懸念を伝えていました。
※2020年5月16日に公開された動画です。(ちなみにこの動画を公開した時は某FP系のYoutuberさんからクレームが入りました汗)
仮に不景気の状態で物価が上がれば景気は悪くなります。
また金利が上がれば、住宅ローンの支払いに窮した売りが増えますし、そもそも金利が上がると予算は下がりますので、市場全体としても下げの圧力が高まります。
要因②:新型コロナの感染状況
現在、日本では奇跡的な落ち着きを見せていますが、世界的にはまだまだ余談を許さない状況です。
これ以上状況が悪化するのであれば、景気にも影響が出ますので、相場の下げ圧力が高まりそうです。
要因③:中国恒大集団のデフォルト・破綻
中国ではかつての日本の不動産バブルのような状況にありましたが、綻びが出始めてきています。
今年に入ってから多くの不動産業者がデフォルトに陥っており、その中でも中国恒大集団は日本円にして30兆円という負債の大きさから日本でも大きく取り上げられました。
そもそもこの問題の本質は、中国特有の事情と、中国の不動産ビジネスモデルの破綻です。
中国はかつての日本のバブル崩壊を徹底的に研究しており、今回の問題もソフトランディングを目論んでいます。
今のところ世界の金融市場はそこまで懸念材料ではあるものの、そこまで大きな問題とは見ていないように感じられます。
2022年、名古屋で中古マンションは買っても大丈夫?
それでは肝心の2022年に名古屋で中古マンションを購入しても大丈夫なのか?
個人的には、今の相場を見る限り、そこまで大きく変わる可能性も低いことから、いい物件があって、あなたが買える状況であれば買ってしまって構わないと思います。
結局のところ、相場というものは結果論でしかないですが、全てを予想することは不可能です。
それよりも待っている間の家賃の方が価格的には大きいなんてこともありますし、ローンの借入期間にも影響するので予算も下がります。
ですから、いい物件があれば買ってしまって構わないと考えます。
不動産仲介業者の担当者選びは慎重に
いい物件というのは、ご自身の価値観にあっていて、立地や管理の良好さなど、住みやすさと資産価値が将来も見込める物件のことを言います。
立地はわかりやすいですが、管理は外からはわかりづらい内容になります。
適切な修繕や綺麗に清掃されているのは当然のことで、その将来的な修繕を行うにあたって必要になる積立金の運用や実際にかかる工事費など、財務面にマンションの管理の良し悪しは出ます。
私も多くの顧客に「このマンションはどう思いますか?」との問い合わせを受け、多くの中古マンションの組合の調査をしていますが、感覚的に3割くらいはやめた方がいいマンションです。
これらの調査は管理組合から調査資料を取り寄せて行うのですが、管理会社は宅建業の免許がないと提示をしてくれません。
ですから調査自体は不動産業者に依頼するしかないのですが、この調査を行う不動産業者は非常に少ないのが現実です。
そもそもこの調査報告書には不都合な内容も含まれていて、それを伝えてしまうと買ってもらえなくなるのではないかという不動産業者の思惑があるからです。
そもそも調査すらできない担当者も多いのではないでしょうか?
私が色んなところで、「中古マンションに限らず不動産購入は担当者選びから始めるべき」と発信していますが、こういうところに理由があります。
住宅市場は基本どこの不動産業者からでも同じ物件が購入できる仕組みになっているので、誰から買うかという視点を持つことで、将来的な失敗のリスクを大幅に低減できます。
不動産事業者の担当者探しはこちらのサイトを利用すると便利です。
→ 高品質なサービスを提供する全国の担当者を探せるサイト「HOUSECLOUVER」
リフォームの工程に注意
中古マンションを購入する際にリフォームを合わせて行うケースが多いですが、現在、新型コロナの影響で一部の住設器(トイレや給湯器)の商品が品薄で、手に入るのに時間が非常にかかったりしています。
もしリフォームされる際は、なるべく早い段階で仕様を決めてしまうなどの工夫が必要になってきます。
住宅ローン減税の改定
2022年から住宅ローン減税が変わることになりました。
住宅ローン減税といいつつ、近年の低金利により、逆ざやになって購入者の利益になってしまっていたことが問題視されていて、見直された格好になります。
詳細な説明はここでは省略しますが、これまでの年末残高の1%から7%に変わります。
これにより減税効果は小さくなります。
また住宅ローン減税自体、中古マンションでは全て利用できるわけではないので注意が必要です。
名古屋の2022年における中古マンション購入の戦略
それでは2022年に中古マンションを買うのであればどのようなことに気を付けておけばいいのか。購入の戦略についてお伝えします。
気になる物件があればすぐに動けるようにしておく
物件の在庫量が少ない状況では、いい物件が出てきたらすぐ動けるようにしておくことが大切です。
後から説明する物件の自動化をしておくことをオススメします。
また気になる物件があれば内覧前に住宅ローンの事前審査を通しておくことも良いです。
価格交渉は慎重に
通常の市場と違い、現在は物件の供給量が少なく圧倒的に売り手市場です。
豊富な物件の在庫量があれば別ですが、現在のような状況では、いい物件であればすぐに買い付けが複数入ったりするので、価格交渉は慎重に行う必要があります。
相場と比較してあまりにも高すぎるものは交渉はしていいかもしれませんが、相場と比較して妥当なラインであれば、本当に欲しいのであれば価格交渉をせずに買い付け証明書を提出することも考えておきましょう。
名古屋で中古マンションを購入する時の注意点
それでは最後に名古屋で中古マンションを購入するときの注意点について解説していきます。
無理のない予算を把握しておく
いくらいい物件を購入できたとしても、支払いが毎月の家計を圧迫してしまっているようでは、そもそも家を買う目的が達成されません。
いざいい物件を見つけたときに、支払いの不安に駆られ、決めきれなくなってしまうこともあります。
中古マンションを探す戦略にも関わってきますので、まず一番はじめに、ご自身に無理のない予算を把握するようにしてください。
不動産事業者の担当者を事前に見つけておく
中古マンション購入は誰から買うかによって結果が大きく変わる商品です。
買ってはいけない物件の見極めや、年々複雑化する税制などへの対応、欲しいと思った物件が確実にものにする段取りなど、担当者が果たす役割は非常に大きいです。
ただ人がいいだけでもいいわけではないので、しっかり時間をかけてでも良い担当者を探すようにしてください。
物件探しの漏れがないように自動化させておく
中古マンションの在庫が少ない中で、毎日物件情報収集することは非常に重要になってきます。
不動産業者の担当者にお願いしておくのも良いですが、担当者も人ですので、忙しくなれば後回しになってしまいます。
そこでシステムを利用して、物件探しを自動化できるような仕組みを構築しておくと便利です。
ここまでの予算、担当者、物件探しの自動化についてはHOUSECLOUVERの無料会員登録をすることで全て無料で利用できます。
ちなみに私もこのハウスクローバーの不動産エージェントとして登録しておりますので、私への依頼・お問い合わせもできます。
大きな買い物だからこそ、入念な事前準備をしておこおう
名古屋で中古マンション購入に失敗しないためには、何よりもまず事前準備をしっかりしておくことです。
何事も準備で8割が決まると言いますが、住宅購入においても決して例外ではありません。
大きな買い物になりますので、賃貸のように行き当たりばったりで物件情報サイトなどから問い合わせるのではなく、しっかり戦略を持った上で進めていきましょう。