名古屋で中古マンションを購入しようとした際に、マンション選びから契約、住宅ローン、そして入居に至るまでどんなことを行っていけば良いのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
もちろん、購入する人やご家族の状況によっては入居までにやることは多少異なってきます。しかし、大まかにでも良いので、どんなことをするのか知っておくと準備も楽になります。
そこで今回は、名古屋で中古マンションを購入する際に入居までのやることをご紹介していきましょう。どんなことをまずは行えばいいのか、準備に迷ったらこちらをご参考ください。
名古屋で中古マンションや中古戸建を探す前に優先ポイントを決めておく
中古マンションを購入する前に、まずはいくつか決めておきたいポイントがあります。どのようなポイントがあるのか見ていきましょう。
こだわりの優先度
まずはマンション選びを始める前に、こだわりたい部分やポイントを書き出し、それらの優先度を決めておきましょう。中古マンションは様々な特徴を持った物件がありますが、理想が100%叶う物件に出会えることは、正直なかなか難しいです。
そこで、絶対に譲れないポイントは何かを決めてからマンション選びを始めてみましょう。すると希望に近いマンションを見つけられる可能性も高くなります。名古屋市内にはたくさんの中古マンションがあるので、まずは物件を絞るためにも優先度を決めておきましょう。
子どもの教育について
中古マンションを購入する方の中には家族で移り住むという方もいらっしゃるかと思います。まだ小さい子どもがいるという時は、子どもをどこに通わせるかで住むエリアも決まってくるでしょう。特に小学校・中学校は自宅から通うケースが多いので、通学に便利な立地を考慮することも大切です。
他にも名古屋市には人気の学区というものが存在します。しかし人気だからいいというわけではなく、人気の学区はそれだけ生徒のレベルも高いため、現在の相対評価による内申点の問題もあります。近い将来是正があるかもしれませんが、お子さんの教育方針については適正も見ながらしっかり見極めていくようにしましょう。
また、塾や習い事はどうするのか、教育費はどれくらいかかる予定なのかを決めておくと、住宅ローンの支払いプランを考える時に役立ちます。子どもの教育をどうするのか夫婦で教育方針を決めておきましょう。
共働きにするかどうか
夫婦で共働きをするかどうかによって家計に大きな影響を与えます。例えば、夫の年収が700万円で専業主婦だった場合、世帯年収は700万円となりますが、妻が年収300万円だった場合、世帯年収は1000万円となります。
世帯年収が高ければその分中古マンションを選ぶ時の予算にも大きく影響してきますし、住宅ローンの返済プランも変わってくるでしょう。共働きするかどうかで将来的な収入がどうなるか予測してみることも大切です。
老後について
まだ早いと考える方も多いかもしれませんが、老後についてもきちんと考えておきましょう。このまま購入するマンションで老後を過ごす予定であれば、バリアフリー改修も可能、もしくはすでにある程度バリアフリー化されているところを選んでおくと後々楽になります。また、仕事をいつ辞めるのか、老後はどんなことをして過ごしたいのかを考えると、将来必要になってくるお金が見えてきます。
これらの項目をまず家族で話し合い、それからマンション選びを始めるようにしましょう。続いてはいよいよマンション選びについてです。
無理なく支払える予算を知る
ある程度家族で優先順位についても話が出来て、次にするべきことは、無理なく支払っていける予算を考えていくことです。ここをしっかり考えていかないと、いくらいい中古マンションや中古戸建てを購入出来たところで、支払いが生活を圧迫してしまえば元も子もありません。住宅購入で暮らしを豊かにしていくために欠かせないプロセスです。
借りられる金額と無理なく支払える金額は別物
予算についてしっかり検討せずに、不動産会社やオープンハウス、銀行などに行くのはリスクのある行為です。なぜなら、不動産会社やハウスメーカーなどが考える予算とは、あなたが銀行から借りられる金額なのです。
すでに不動産会社やハウスメーカーなどの担当者とお話をしたことがある方は経験があるかもしれませんが、まず聞かれることは「年収」です。なぜ年収を聞いてくるのか? それは銀行では年収を基準にして借りられる金額を決めているからです。
しかし銀行で借り入れられる金額は、あくまで銀行が定型的に決めた基準でしかありません。独身と所帯のある家庭で、住宅に回せる費用が異なるように、人それぞれによって無理なく支払っていける金額は異なります。
正しい予算の設定の仕方
それではどのように予算を設定していけば良いのでしょうか?
まず多くの方が考えるのは、今の家賃を基準にすることです。もちろんこれは現状支払いができていて、生活をやっていけているので、一見問題なさそうに見えるかもしれません。
しかし、この考え方には一つだけ欠点があります。それは「時間軸がないこと」です。住宅ローンを組むと、長い人で35年にも及びます。その間にはお子さんの教育費が家計の負担になる時期や、老後の生活など、長い時間軸でシミュレーションをしておく必要があります。
このシミュレーションをするためには、FP(ファイナンシャルプランナー)とよばれる資格者が行うライフプランニングを受けることが最良の方法です。有料のサービスにはなりますが、将来お金のことで苦労するリスクを考えれば費用対効果は高いのではないでしょうか。
弊社でも、住宅購入者むけに無料でライフプランニングを提供しています。詳細はこちらをご覧ください。
パートナーとなる不動産業者(担当者)を探す
実際に物件を探しだす前に、もう一つやっておかなければいけない大切なことがあります。それは、パートナーとなる不動産業者(担当者)選びです。
どこの不動産業者からでも同じ物件が購入できる
意外と知らない方も多くいらっしゃいますが、基本的にどこの不動産業者からでも同じ物件が購入できます。新築は仲介業者を通さず、売主が直接販売しているところもありますが、逆に仲介業者を通してしか販売しない売主もいます。
また個人が売主になることが多い中古住宅市場では、ほとんどの物件が仲介業者が介在しますので、基本的にどこの不動産業者からでも購入できるのです。
不動産業者はレインズを通じて一つに繋がっている
これだけではピンと来ないかもしれません。実際に不動産業者の仕組みを図示すると以下のようになります。
左から順に説明していきます。まず、物件の所有者である売主は仲介業者に売却の仲介を依頼します。この時に依頼を受ける業者を「元付(もとづけ)業者」と呼びます。
次に元付業者は、預かった売物件を「レインズ」という物件データベースシステムに入力します。このレインズというのは不動産業者のみが見ることが出来る、全国の市場に流通している物件のデータベースです。
そして、今度は買主側にいる不動産業者のことを「客付け(きゃくづけ)業者」などと呼びますが、この客付け業者が、買主へ物件を紹介します。またレインズに載っている物件を借りて、不動産情報サイトに掲載したりします。
よく、不動産情報サイトを見ていると、同じ物件を色んな不動産業者が広告に出しているのを見かけると思ういますが、それはこの仕組みによるからです。
このように、不動産業者はレインズを通じて一つにつながっているので、どの不動産業者からでも同じ物件が購入できるということになるわけです。
担当者によって結果が変わる
不動産、特に中古住宅は担当者によって結果が大きく変わります。例を出して考えてみましょう。
①【不動産仲介業者Aで購入】
例えば、あなたは不動産情報サイトを見ていて、希望のエリアで築25年の中古戸建てが3,000万円で売りに出されているのを見付けました。内装も綺麗にリフォームされていたので、すぐに住むことも出来そうです。
不動産情報サイトから問い合わせて、内覧の時にやってきたのは不動産仲介業者A。あなたは物件を見て気に入ったため、購入の意思を伝えます。
業者Aはその意向を受け、売主と話しを取りまとめ、無事成約にいたります。インスペクションについても確認されましたが、良く分からなかったし、リフォームされていたので特に必要ないかと考え、実施しませんでした。
他には何をしたら良いのか分からなかったので、段取りなどはすべて業者Aに任せていました。
②【不動産仲介業者Bで購入】
あなたは同じく不動産情報サイトを見ていて、気になる中古戸建てを見付けました。
問い合わせてやってきたのは、不動産仲介業者B。あなたは物件を見て気に入り、購入の意思を申し出ました。
業者Bはその物件を見て、物件はきれいであるものの、目に見えないところも心配なのでインスペクションを勧めました。また耐震基準が2000年6月以前(※後章参照)の物件であったため、耐震性にも不安があるので、耐震診断も進められました。
自治体に無料で耐震診断ができる制度があったので、費用はかかりませんでした。インスペクションの結果、断熱材が劣化していたので、その対応にかかる費用は売主さんと価格交渉の結果、その分の費用を引いてもらうことで話が付きました。
また耐震診断の結果、現行の耐震基準に満たないので耐震改修工事を行うことになりました。耐震改修にかかった費用は自治体に2/3まで補助が受けられる制度があったので、そちらを利用しました。
また業者Bが、書類の手続きなどの手配をしてくれたおかげで、住宅ローン減税も適用されるようになりました。今の所得や借入額から考えると10年間で300万円近く戻ってきそうです。
何をしたらよいか詳しく分かりませんでしたが、業者Bが的確な判断と知識をもって動いてくれたので、安全な家を納得できる形で購入することが出来ました。
いかがでしょうか?客観的に業者Aと業者Bのどちらから購入したいですか?これは極端な例ではなく、住宅取引の中ではよく起こり得ることなのです。
実際に物件を探していく
ここまでの準備が整って、ようやく物件探しが始まります。これまでの準備を飛ばしてしまうと、あとあと後悔することになるかもしれない重要なポイントですので、ぜひしっかり準備を行うようにしましょう。そして準備をしっかり行っていると、物件探し以降の流れもスムーズに進めていくことが出来るようになります。
まずは、希望するエリアを絞るところから始まりますが、名古屋と一口に言っても多くのエリアに分かれており、それぞれにたくさんの中古住宅が存在しています。
その中から自分や家族に適した中古マンションや中古戸建を選ぶにはどうすれば良いのでしょう?エリアから住宅探しの中でやることや注目すべきポイントをご紹介していきます。
エリア探しのポイント
まずはどのエリアを選ぶかを決めます。予算が決まっていれば、ある程度エリアについても絞りやすくなります。先程の項目で紹介したように、子どもの教育を考えて入学を検討している学校の通学区域内を選択することも重要ですが、もしそれ以外でエリア探しをする場合、どんなことに注目していけば良いのでしょう?
職住近接
最近では職場と住宅が比較的近い方が、良いとされています。通勤にかかる時間も考えると、勤務先へのアクセスが良い立地も候補になります。また電車通勤であれば、最寄駅からの距離もポイントになります。
将来の資産価値
価値感の多様化や長寿命化により、これからの時代は住み替えが増えていくことが予想されます。将来売るかもしれないと考えるのであれば、いくらくらいで売ることが出来るのだろうかという考えが自然と浮かんできます。この考え方を「リセールバリュー」といって、住宅を購入する上で非常に重要な考え方になります。
資産価値に関わってくる一番のポイントは立地です。中古マンションであれば他にも管理状態も合わせてチェックしましょう。
災害に強いかどうか
日本はもともと地震大国と言われ、さらに昨今の温暖化などを原因とする、集中豪雨などによる自然災害が多く発生しています。そしてこういった自然災害が起こった時に、被害が大きいエリアとそうでないエリアがあります。
自治体がハザードマップを公開しているので、地震や自然災害が発生した時に、どれだけの被害が予測されるかも分かるようになっています。家探しは最大の防災対策でもありますので、特段エリアにこだわりがない方は、防災面を気にされた方がいいでしょう。
初めて訪れるエリアは夜も訪れてみる
同じ名古屋市内でもエリアによって雰囲気は異なります。昼間は穏やかだったとしても夜になると急にうるさくなったり、逆に昼間はうるさくても夜はとても静かになったりする場合もあります。そのため、初めて訪れるエリアは必ず昼だけではなく、夜も訪れるようにしましょう。
コンビニもチェックしてみる
これは、近くにコンビニがあるかないかをチェックするわけではなく、コンビニのゴミ箱がどうなっているのかをチェックしてみましょう。
最近、コンビニの中にゴミ箱が設置されている場合があります。店内にゴミ箱が置かれているということは、このコンビニで買っていない、家庭用のゴミも捨てられていたため店内にゴミ箱が設置されるようになっています。
つまり、コンビニのゴミ箱が店内にある場合は、一部ではあるかと思いますが、少なからずマナーや意識の低い人も住んでいるエリアであることが分かるのです。
またお店の外に設置されていたとしてもゴミ箱からゴミが溢れているような場合は、家庭用のゴミを持ち込まれている可能性が高いと言えるでしょう。
住宅探しのポイント
住宅探しはそれぞれ人によってこだわる部分も異なるかと思いますが、最低限チェックしておきたい部分をご紹介します。こちらも参考にしつつ理想の中古マンションを選んでみましょう。
耐震基準
中古住宅では、築年数も様々な物件が存在します。比較的新しい「浅築」と言われるものから、「築古」と言われるものまで幅広くあります。そんな中で注目したいのが、耐震基準です。
1981年6月に建築基準法が改正され、これ以降の建物を一般的に「新耐震基準」、それ以前の建物を「旧耐震基準」の物件として分けられています。
また建築基準法の改正はこれから建てられる建物に適用されるので、中古マンションの場合は1982年までは新耐震基準と旧耐震基準の物件が混ざっているので注意が必要です。
また中古戸建に多い木造住宅などでは、1981年の改正から、さらに2000年6月に再度建築基準法が改正され、この時以降の建物が「現行の耐震基準」となります。
これは1995年に起こった阪神・淡路大震災の時に、1981年6月以降に建築された住宅の多くが倒壊したことがきっかけです。ですので、一般的に「新耐震基準」と呼ばれる時期の住宅であっても、2000年6月までの住宅においては、実際に耐震診断をすると「基準を満たしていない」とされることもあるので、注意が必要です。
日当たり
マンションの場合、各部屋で窓の位置が異なっているため日当たりが違ってきます。日当たりを良くしたいと考えると、やはり東・南に窓が付いているところを選びたくなります。
ただし、東・南に窓が付いていることで壁が少なくなり、家具・家電を置く時に置き場所がなくなるというデメリットや、あまりにも窓が多いと逆に日当たりが良すぎて夏場暑くなるなども考えられます。そのためこういったデメリットは解消できるのかどうか、ちょうどいい日当たりになるのかどうかをチェックしましょう。
他にも周辺に大きな建物が建ちそうな空き地がないかも、将来の日当たりに影響してくるかもしれないので、チェックしておくようにしましょう。
生活動線
家事をする人にとっては生活動線が意識された間取りの中古マンションを選ぶと良いでしょう。例えばキッチンやサニタリーへのアクセスがしやすく、さらにサニタリーからバルコニーまでの距離が短ければ、移動距離を少なくすることができ、ムダのない生活動線を組むことができます。また、水回りが比較的集まっていると家事もしやすくなるのでおすすめです。
収納スペース
家族分の収納を家の中に入れなくてはならないため、収納スペースも重要です。荷物が多いという場合は大きめのクローゼットが備わっている家、ウォークインクローゼットがある家などを選ぶと良いでしょう。
また、デッドスペースをうまく活用した収納スペースがある家は、収納力の高い家と言えます。子どもがいると特に荷物が増えるので大容量の収納スペースが確保できる家を選ぶようにしましょう。
物件探しにはAI(人工知能)も活用しよう
物件探しをする時、不動産情報サイトを利用する方が多いと思いますが、広告になるので基本いいことばかりが買いてあって、リスクやマイナス面などについては書かれていません。
キレイにリノベーションされていても、実は旧耐震基準の物件であったり、相場よりも比べて高いこともあります。そんな不動産の資産価値やリスクをAIが一瞬で判断してくれる無料Webアプリもあります。
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商談をする(購入申込)
実際に物件を探して、気になる物件があれば、次は商談に入ります。商談をいれるということは、「購入申込書(買付)」を売主に提出をすることです。
この書面に値段やその他条件などを書き、売主と話しをします。話し合いをするといっても、実際は不動産業者同士で話すことになります。値段交渉などもこの商談時に行います。
注意するべきことは、この商談をするということは、条件がまとまれば契約をすることが前提条件です。商談がまとまって契約をしなかったからといってもペナルティーはありませんが、周囲に迷惑をかけてしまうことになるので、基本的には書面を出すイコール契約するということを念頭に商談をするようにしましょう。
価格交渉のポイントは「中古マンションを値引きする前に知っておきたい7つのこと」も参照にしてください。
インスペクションや瑕疵保険をどうするか?
商談の条件の範囲には、金額以外にも及びます。その一つにインスペクションがあります。
インスペクションとは、2018年4月の宅建業法改正により、実施の確認が義務付けられました。建物状況調査とも言われますが、これは建築士の資格者で尚且つ国土交通省の研修を受けた人が行う検査をいいます。
建物の状況を明らかにすることにより、事前に目に見えない欠陥も把握することができ、安心して取引をすることが出来るようになります。中古マンションもそうですが、特に中古戸建の場合はインスペクションをぜひ検討するようにしましょう。
また瑕疵保険に加入したい場合は、通常のインスペクションとは検査の内容が変わりますので、あらかじめ瑕疵保険に加入するためのインスペクションを行わなければいけません。
ただし、人気物件などの場合や大幅な金額交渉がある場合は、インスペクションをしている間に他の購入希望者に取られてしまうことがあるので注意しましょう。
住宅ローンと契約手続きを確認しておこう
もう一つ、商談と同時並行で進めていくことに、住宅ローンの事前審査(仮審査)があります。商談の条件がまとまれば次は売買契約の締結ですが、住宅ローンの事前審査に通っていないと、基本的には次には進めません。
事前審査は先に通しておく方が良い?
ただ売主や元付業者によっては、事前審査が通っていないと商談を受け付けてくれないところもあります。通常、商談は手を上げた順番になるのですが、それだけではダメで、事前審査が通った順で受け付けることになります。
このような場合、人気物件であったり、他の希望者とバッティングすると、事前審査に通っているかどうかによって、買えるか買えないかが決まることもあるのです。
そういった事情を考えると、本格的に探し始める時には、あらかじめ事前審査を通しておいた方が有利に働くことがあります。
またその際の銀行についてですが、中にはフラット35の場合は事前審査だけではダメで、本審査も通してくれと言われることがあります。これはフラット35の独特の制度によるものです。
フラット35では事前審査の結果には「承認」「否決」、そして「留保」という、「○」でもないけど「×」でもないという、他の金融機関にはない結果があります。この「留保」の場合は、本審査で落ちることもあります。
このことから「フラット35は本審査でも落ちる」というイメージが先行し、フラット35の場合は本審査を通してくださいと言われることがあります。本審査は事前に通しておくわけにはいかないので、一般的な金融機関で承認を取っておくことをお勧めします。
住宅ローン選びについては「名古屋で住宅ローンを組むときに知っておきたい5つのこと」も合わせて参照してください。
不動産売買契約の締結
ここまできて、晴れて契約になります。契約時に必要になるお金や、実際の手続きについて説明します。
必要になるもの
契約締結時に必要になるものは、身分証明書や印鑑、収入印紙、そして売主に支払う手付金や仲介業者に支払う仲介手数料などです。
収入印紙は購入物件の価格によって変わりますので、あらかじめいくらのものを購入すれば良いか、確認をしましょう。
そして手付金については、一般的に物件価格の5~10%くらいで設定されることが多いです。売主と合意があれば少なくても構わないですが、大手不動産仲介業者などでは、手付金は物件価格の5%以上と規定で決められているところもあるので、注意が必要です。
仲介業者に支払う手数料も、業者によって変わってきますが、一般的にはこの時点で仲介手数料の半金を請求される場合が多いです。
参考記事「中古マンション・中古戸建て購入にかかる諸費用とタイミング」
重要事項調査の説明
売買契約締結前に宅地建物取引士が、取引する不動産の重要な調査事項を説明します。この説明は非常に重要になるので、しっかり聞くようにしましょう。
この説明を聞いて署名捺印をすれば、その内容を聞いて納得したと解釈されます。不明な点や疑問点を残さないようにしましょう。中古マンションや中古戸建ての場合は、物件の「告知書」や「付帯設備表」という書面も発行されます。
この書類は、売主しか知り得ない情報や、どんな付帯設備がついていて、稼働状況はどうかを確認する目的のものになります。ここに告知された事項や付帯設備については基本的に瑕疵(かし)の対象から外れるので、しっかり確認しておくようにしましょう。
※瑕疵(かし)とは目に見えない欠陥のことで、一般の個人が売主になる場合は、瑕疵に対する保証は通常3ヵ月とするところが多いです。また売主が不動産会社である場合は、2年以上の保証期間が宅建業法で定められています。ちなみにこの瑕疵に対する保証は通常、主要構造部分(構造躯体や雨漏り、給排水管)に限られます。
売買契約書の締結
そして重要事項の説明を受け、契約条項の読み合わせをして、契約書に署名・捺印をしていきます。
売買契約書には、住宅ローンの特約期限や、引渡しの期限、手付金の額や違約金の額など、取引に関わる条件が記入されているので、しっかり確認するようにしましょう。
この売買契約の締結を終えて、ようやく成約済みとなります。しかしまだ取引が終わったわけではありません。次の項目からは契約後に行う流れについて説明していきます。
住宅ローンの本申込
契約が終われば、次は住宅ローンの本申込をします。住宅ローンを利用するときには、契約書には「ローン特約」と呼ばれる特約がつくことが一般的です。
ローン特約とは、万が一本人の責任に帰さない事情で、住宅ローンの本審査が通らなかった場合に、白紙撤回(手付金も戻ってくる)に出来る買主保護の特約です。
そしてこのローン特約には期限が決められており、基本的にはこの決められた期限までに白黒をつけなければいけません。通常で2~1か月くらいの期間になるので、なるべく早く必要書類をそろえ、金融機関に住宅ローンの本申込をしましょう。
そして本審査が正式に承認されれば、次は引渡し日を決めていきます。この引渡し日が決まらないと、他の手続きなども前に進まないので、本審査が降りたらすぐにでも売主サイドと相談しながら引渡し日を決めるようにしてください。
特にフラット35の場合は、本審査のあとに比較的時間がかかるので、引渡し日をすぐに決めていかないと、契約書で定められた引渡し日に間に合わず、違約金が発生する場合もありますので、特に急いで決めるようにしてください。
決済は、基本的に銀行がやっている平日の9時~15時までです。着金の確認や書類の準備にかかる時間を考えれば午後スタートの場合でも、遅くとも13時から決済を始めなければいけません。仕事の都合などをつけておくようにしましょう。
住民票の移動
ここが、賃貸との引っ越しとの大きな違いになります。通常、住民票を動かすのは引っ越した後です。市役所にそのまま行っても引っ越してから来てくださいと言われるだけです。
しかし売買の場合は引っ越し前に住民票を動かす必要があります。それは銀行が住宅ローンの契約時に、新住所の住民票の提出を必須としているからです。
住宅ローンはあくまで住居用の不動産を個人の方が購入するために、特別に優遇されたローンなのです。なので銀行としては、住居用として使うことを確認しなければいけませんが、貸した後に確認していては、約束を守らない人も出てくると考えます。
よって引っ越し前でもある、住宅ローンの契約時までに住民票を移動させる必要があるのです。なので市役所にはあえて「引っ越したので」と言うようにしてください。
変な制度の矛盾なのですが、そうするしかないのです。市役所の人たちも住宅を購入しているので、本当は気づいているのかもしれません。
よく受ける質問として、学校の転校に関することがありますが、住民票を移動させたらすぐに転向しなければいけないわけではありません。学校と話合って都合のいいタイミングで転校するようにしていきます。
注意したいのは住民票が移ると自動的に住所が移動されるものとして、市税に関わるものがあります(軽自動車税など)。引き渡しまでに日が空くときは、これらの請求が新住所に行ってしまうので支払忘れなどに注意するようにしましょう。
名古屋市内での引っ越しであれば、引っ越し先の区に転入届をすれば、自動的に前に住んでいた区で転出届がされるので、一か所で済みます。
銀行との契約(金銭消費貸借契約)
引渡し日も決まり、住民票の移動が終われば、次は銀行との契約です。金銭消費貸借契約という名称ですが、よく略して「金消(きんしょう)契約」などと言ったりします。
収入印紙や新住所の住民票と印鑑証明書、通帳などが必要になります。忘れ物が無いように、事前にしっかり準備をするようにしましょう。
決済・引き渡し
最後はいよいよ残代金の支払いと物件の引渡しを受ける、決済・引き渡しです。銀行の一室に、不動産仲介業者や売主、司法書士などが一同に介して行います。
通常は1時間半から2時間ほどあれば終わりますが、月末や年度末などは銀行自体が込み合うこともあるので、なるべく余裕を持つようにしましょう。
この時に、手付金を払った残りの物件残代金や、諸費用などを支払っていきます。物件残代金の支払いと同時に司法書士が法務局へ所有権移転登記の申請をもっていき、名義を変更する手続きをします。
他にも鍵や書類などの引渡しを受けます。この時をもって、契約をした住宅が正式にあなたものものになります。
【番外編】
賃貸(現在の住まい)の解約
引き渡しが決まれば、今住んでいる住居が賃貸であれあ、契約解約の手続きが必要になります。一般的な契約であれば、解約日から1か月前までに通知することとされているので、引越しの日も踏まえて早めに段取りしておくようにしましょう。
また引っ越し業者の手配なども早めにしておくようにしましょう。特に繁忙期の場合は、すぐに予約が埋まってしまいます。
リフォームやクリーニング
住むのにあたり必要になるリフォームは、引き渡しを受けてから着工します。打合せは引き渡しを受けるまでにある程度終わらせておけばすぐに工事に入ることも出来ます。
またリフォーム費用を住宅ローンに組み込む場合は、事前審査の時に見積もり、本申込の時にリフォーム・リノベーション業者との請負工事契約が必要になるので、スケジュールはかなりタイトになるので注意が必要です。
またクリーニングについては、一般的には買主が行うことが多いです。
設備のチェック
契約の時に瑕疵担保の取り決めにもよりますが、付帯設備に対して初期不良のみ、瑕疵の対象にするという内容になっている場合もあります。その時は引き渡しから1週間以内となっていることが多いので、引き渡しを受けたら電気・ガス・水道を開栓して、付帯設備を作動させてチェックするようにしましょう。
いくら初期不良があったとしても、契約書上の期間を過ぎてしまえば請求が出来なくなります。引き渡しを受けたからといって、安心せずに最後まで気を抜かないようにしましょう。
空家の場合、申込から1か月半から2か月くらいで入居に
いかがでしょうか?簡単ではありますが、簡単に名古屋市で中古マンションや中古戸建を購入する際の流れやポイントを説明いたしました。賃貸と比べてはるかにやることは多いですが、それだけの金額が動く取引なので当然といえば当然なのかもしれません。
取引が進みだしたら、引越しまでは案外早かったりしますが、実際に検討を始めてから購入に至るまでにかかる期間は人それぞれです。探し始めて最初に見た物件で決める方もいれば、10件ほど見る方もいらっしゃいます。
また家探しに限らず、物事を進めていくときに準備の重要性が話題に上がることが多いと思いますが、家探しにおいても変わりません。正直なところ、いくらいい物件が見つかっても、最初の予算設定が間違っていれば、生活は苦しくなります。
また物件探しや安全な取引を進めていくためには、経験豊富なエージェント(営業担当者)の協力も欠かせません。
あなたの人生に大きな影響を与える買い物になるので、ぜひ事前準備をしっかり行ったうえで、よりよい家探しをしていけるようにしてください。
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