昨今のマンション市況が活況を呈しているのは、景気や不動産相場の値上がりなどが主な原因ですが、そう以外にも、これまでマンションの購入対象者ではなかった、独身者のマンション購入が増えていることが要因として挙げられます。
弊社でも実際に独身者の中古マンション購入のお手伝いを多くしてきましたが、男性と女性を比べると、どちらかといば女性の中古マンション購入の方が男性の独身よりも多いと実感しております。
そこでここでは独身女性の方のマンション購入を多数お手伝いしてきた経験から、中古マンションを探すにあたって後悔しないためにどんなことに注意すればいいのか、また中古マンション購入で暮らしを豊かにするためのポイントについてお伝えしていきたいと思います。
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独身のマンション購入が増えている
実際独身の方が全体の中古マンション購入者の中でどれくらいるのかを集めたデータがあります。
(平成29年度 住宅市場動向調査報告書より抜粋)
このデータは国土交通省が毎年、実際住宅を購入した方に向けて実施しているアンケートの結果になります。
上のデータが新築マンションで、下のデータが中古マンションです。
新築マンションの一人世帯の購入比率が直近5年で5%前後で推移しているの対して、中古マンションはその倍の10%以上で推移していることが見て取れます。
男女別のデータはありませんが、実際の業務で肌で感じている割合だと、男性:女性=2:8くらいの割合なので、いかに独身女性の中古マンション購入が活発か分かるのではないでしょうか。
独身女性がマンション購入を考えるきっかけ
一般社団法人「女性のための快適住まいづくり研究会」が研究会の女性会員に行ったアンケートの結果によれば、独身女性のマンション購入のピークは「35~44歳」だそうです。
そして実際の購入者の約半数が39歳までに購入されているとのことでした。
ちなみに20代後半~30代前半が全体の約22%、40代後半~50代前半が全体の約21%と、4割を占めていて、30代後半~50代前半で全体の9割がマンションを購入している計算になります。
この年代別の購入割合を見ていて感じるのは、結婚を考えるパートナーが現在いなくて、収入が安定し、将来のことを考え始めるタイミングで住宅購入を検討する方が多いように感じます。
実際、私がマンション購入のお手伝いをさせていただいた独身女性の方も、そういうタイミングの方が多かったように思います。
ずっとこのまま賃貸で住み続けることに、もったいなさや不安を感じてマンション購入に踏み切るという方が多いのではないでしょうか。
考え始めたときは、まずはライフプランニング
実際マンション購入を考え始めたときに、一番最初に考えてほしいことは、お金のことです。
仕事が安定して、将来の見通しが付きやすくなる年齢でマンション購入を購入するということは、裏を返せば、お金の面での失敗が許されない(リカバリーしにくい)ので、ライフプランニングをすることで、将来に必要なお金のシミュレーションをしておくことが必要になります。
ライフプランニングを行うときは、基本的にお子様はいない方が多いので、教育費についてそこまで考えなくてもいいですが、生涯一人でいることを想定して老後の設計をしっかりしておく必要があります。
住宅ローンを支払いながらそれなりに貯金もし、趣味や旅行などにもそれなりにお金を使いたい。
そうお考えの方が多いように見受けられますが、自分らしく暮らすためにはお金の戦略が必要です。
プロのファイナンシャルプランナーなど、身近にお金の相談が出来る人がいることが理想です。
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新築マンションか中古マンションか
マンションの購入を検討し始めたときに、新築マンションと中古マンションのどちらがいいのか、迷うときがあるかもしれません。
筆者の考え方としては、基本的に中古マンションがお勧めです。理由としては以下のことが考えられます。
- 本当の家の価格を「売却価格ー購入価格」として考えたときに中古マンションの方が圧倒的に優位
- そもそもの価格が安い
- 今は中古マンションでも良質な物件が増えてきている
- 実際に住んでいる人がどんな人かが分かる
- 管理状態が実際に見て確認することができる。
①については、もしかしたら将来結婚や実家へ戻ることがあった時に売却するときのことも想定しています。
こういう話をすると、お客様は「ないない」という反応をするのですが、世の中なにがあるか分かりません。絶対はないので、そのことを前提に物件も探していきます。
そして中古マンションの一番のメリットは新築マンションに比べ、その価格の安さです。
実際新築マンションよりも、中古マンションの方が独身の方の購入率が高いのも、このことが関係していると推測されます。
また良質な中古マンションも増えてきていて、物件量も多く、お気に入りの物件が見つかりやすいと思います。
その他にも、実際にどんな方が住んでいるか、その様子をうかがい知ることができたり、管理の状態も分かるという点では、蓋を開けてみないと分からない新築マンションに比べ中古マンションにしかないメリットなのではないでしょうか。
独身女性がマンション購入で後悔するのはこんな時
ここからは独身女性のマンション購入でありがちな失敗のパターンをお伝えしていきます。
マンション購入でよくある失敗のパターンを知っておくことで、それを反面教師として、失敗するリスクを減らしてくれます。
失敗するパターンをしっかり理解して、対策を立てましょう。
途中から修繕積立金があがることを想定していなかった
中古マンションよりも新築マンションに多くみられる傾向があります。
新築マンションの時は、購入してもらいやすいように修繕積立金を安く設定してあるマンションがほとんどです。
実際に年数が経てば、最初の積立金が足りるわけもなく、徐々に値上りしていきます。
新築マンション比べ、中古マンションの修繕積立金が高く見えるのは、新築マンションがただ単に安く設定されているだけです。
見た目だけでなく、本質を理解するようにしましょう。
マンションによっては長期修繕計画を作成していますので、その計画を確認し、将来的にどれくらいまで修繕積立金が上がりそうか見極める必要があります。
また中古マンションは新築マンションに比べ、実際に管理組合がどのように運営されているかを確認できるところがメリットです。
管理組合が機能しているマンションは、マンションに積み立てられている金額も潤沢で、適切に管理もされています。
そういった中古マンションであれば、将来的な値上げも可能性としては低くなりますが、逆に積立金が不足しており、さらに修繕積立金の増額がよそうされる中古マンションもあります。
「マンションは管理を見て買え」という格言があり、管理の見極めが出来るのが中古マンションのメリットなのですが、この見極めをしてくれる不動産仲介業者を見つけることが実は何よりも重要です。
大多数の不動産仲介業者は、まずこの買ってはいけないマンションの見極めはしてくれません。
管理に関わる重要書類が契約直前まで出てこないということもザラですし、そもそも普段からそういった視点をもって中古マンションを見ていない業者は見極めることすらできないのではないでしょうか。
売りたくても売れない!
ずっと住み続けるつもりで購入しても、変化の速い今の世の中で、ずっと変わらずにいる確約はありません。
結婚であったり、親の介護であったり、気分を変えたくなったり、いろいろな要因が考えられます。
そんな時に初めて発覚する問題が、この「売りたくても売れない」です。売りたくても売れない状況というのは、大きく分けて二つに分けられます。
需要がなくて売れない
街中のマンションでは、よほど売れなくなることはないとは思いますが、人口減少や家余りが進む昨今では、立地によっては売りたくても売れないマンションが出てきます。
また立地だけでなく、管理状態からも売りたくても売れないマンションは出てくると思います。
修繕が計画通りに実施されず、老朽化が激しいマンションや、修繕積立金が足りずに、大幅な値上げを行っているマンションなど、購入者が敬遠するような状態にあるマンションでは売りたくても売れない状態に陥ります。
売却価格よりも住宅ローンの残債が多い
新築マンションに多いパターンです。ほとんどのマンションでは新築時が一番高く、そこから値を下げていきます。
通常、新築マンションでは「新築プレミアム」という相場と販売価格の差額が存在し、その価格差は2割ほどと言われています。
中古マンションの価格は相場から形成されますが、新築マンションの場合、土地の仕入れ価格、建築費、広告宣伝費、営業マンや会社の経費、利益などが積み上げられて価格が決まます。
新築のマンションが高いのは、新しいから高いのではなく、積み上げ式なので高いだけなのです。
よく自己資金は2割入れておいた方がいいといわれますが、これはどちらかと言えば新築を念頭においたセオリーだと考えられます。
後に詳しく説明しますが、中古マンションは購入時と売却時の価格差が小さいため、このようなことが起こるリスクが少なく、自己資金があまり出せない方なんかは、中古マンションの圧倒的に安全度は高いと思います。
途中で金利が上がって支払いが厳しくなる
よくポスティングなどでマンションのチラシなどを見かけます。その中でも「月々○万円からマンションが買えます」なんてキャッチコピーをあなたも見たことがあるかもしれません。しかし、よくよく小さな字も見ると「変動金利〇%」と書いてあります。
今は金利は底をつき、どちらかと言えば上昇傾向です。上昇傾向のときは、金融的なセオリーで行けば、固定金利が合理的な選択と言われています。
しかも、この超低金利時代、変動金利は8年以上も変わっていません。途中でマイナス金利になった時もです。
これがどういうことかというと、すでに今が金融機関にとっての限界で、これ以上安くしてしまうと経営が成り立たないレベルなのです。
そう考えると変動金利はこれから下がる可能性は0に近く、上がる可能性の方が高いのです。
長期間で借り入れる場合、金利を4~5%でシミュレーションしても余裕のある収入がある方や預貯金が潤沢な人以外はお勧めできません。
そうでない方は、基本的には長期間固定で借りた方がリスクは低くなります。シミュレーションをするときは、変動金利でなく長期間固定で行うようにしてください。
住宅ローンについてより詳しく知りたい方は、以下の記事も参照にしてください。
間取りはどれくらいのものがいい?
間取りはどれくらいのものがいいのでしょうか?
様々なタイプの間取りの中古マンションが流通していますが、筆者のお勧めは、予算が許すのであれば、普段の生活に必要な間取りプラス一部屋です。
多くの方の場合は1~2LDKになると思いますが、婚約者ができたり、田舎の両親のどちらかがなくなり、一緒に母娘で住む家庭も多くなっていると聞きます。
そうでないときは、荷物を置いておくだけでも生活スペースにゆとりが出ます。
あくまで予算が許せばという条件付きではありますが、もしライフプランニングをした上で、2LDKのマンションも視野に入るのであればぜひ検討してみてください。
コンパクトマンションの注意点
昨今では、独身の方を対象にしたコンパクトマンションの販売が活況です。
コンパクトマンションとは、部屋の広さが40㎡~50㎡くらいの1LDKのものが多いのですが、50㎡に満たないマンションは住宅ローン減税や登録免許税の減税の対象にはなりません。
住宅ローン減税は、10年間にわたり、毎年年末時点での住宅ローンの残債額の1%(年40万円限度、長期優良住宅等は年50万円限度)が戻ってくる制度です。
例えば単純に3000万円の住宅ローンを借りたとすれば、大体諸費用分の250万円くらいが戻ってくるイメージです。
また住宅ローン減税の対象となる面積は、建築基準法上の面積ではなく、不動産登記法上の面積です。
建築基準法上の面積はパンフレットや広告に使用され、壁の中心線から部屋の面積を測ります。
それに対して、住宅ローン減税などの対象となる登記簿上の面積は、壁の内側から測るため、建築基準法上の面積に比べて通常は狭くなります。
もし物件広告などで、50㎡前半のマンションがあれば、それは登記簿上では50㎡を切ってしまう可能性もあるので、注意するようにしてください。
独身女性にお勧めしたい中古マンションの設備や条件は?
次は独身女性の方にお勧めしたい中古マンションの設備や条件などを解説していきます。
オートロック・管理人の有無
やはり女性の独り身となれば、安全面やセキュリティ対策は欠かせません。
その中でも一番オーソドックスで、効果が高いとされているのが、オートロックです。
その他にも管理人が常駐している中古マンションも安心感があっていいと思います。
駅からの距離と道のり
駅からの距離は、資産価値に直結するので、近ければ近い方がいいです。
また駅からマンションまでの道のりも、昼間は賑やかでも夜になると急に人気がなくなるような道路もあります。
中古マンションを検討するときは、昼間だけでなく夜の雰囲気も忘れずに確認するようにしてください。
ペット飼育の可否
独身女性にとって、癒しの存在となるのがペットです。
昨今では猫が犬の飼育頭数を抜き、人気を博しています。
また賃貸では飼いにくかった分、マンションを購入したら飼いたいと考えていらっしゃるシングルの方もいらっしゃるかもしれませんね。
ペットが好きな方は、飼育が出来る中古マンションを探してみるといいかもしれません。
宅配ボックス
Amzonをはじめとするインターネットショッピングは忙しいビジネスウーマンにとってとても便利なサービスです。
ただ家にいない時間が多い独身女性なのですが、宅配ボックスがあると再配達の手間から解放されます。
ポイントは流動性を考えた物件探し
独身女性の中古マンション購入で、筆者が最も気を付けるのが、この流動性です。
男性と比べ女性は結婚や出産など、ライフプランの変化による影響が大きいです。
今は結婚を意識するような相手がいなくても、ある日突然出会うことだってあり得ます。
そんなことを想定して、なるべく購入時と売却時の価格差が小さい(現状維持なら尚可)中古マンション探しを意識しています。
購入時と売却時の価格差が小さい物件を選ぶ理由として、住宅支出が安く済むということもありますが、住宅ローンの支払い当初は利息の支払い比率が高く、早期に売却するということになった時に、売却費用で住宅ローンの残債を支払いきれないことも想定されるからです。
その他にも、売りたいと思った時にすぐに売却ができるような、流動性のある中古マンションを極力選ぶように提案しております。
そうやって考えると、購入時と売却時の価格差が大きくなりがちな新築マンションや、資産価値や流動性に問題が出やすいリノベーションは極力避けた方が無難です。
検討したい中古マンションの条件
これらの条件を考えると、独身女性にとって検討したい中古マンションの条件は、比較的中心部にほど近いエリアで、利便性が良く、駅からの距離も近いマンションが理想的だといえます。
また築年数は2000年前後で、特に2000年6月以降に建築された中古マンションは気密性も向上しており、結露もないのでお勧めです。
その他、オートロックについても標準で装備されているマンションも多く、宅配ボックスなど、便利な設備が普及し始めた年代でもあります。
マンションの値下がりに関する以下のグラフをご覧ください。
(出典:財団法人東日本不動産流通機構「REINS TOPIC 築年数から見た首都圏の不動産流通市場」)
このグラフでは、新築時からのマンションの価格の変化をデータ化したものになりますが、築20年前後で価格が下げ止まっていることが分かると思います。
ちょうど2000年前後に建築されたマンションは築20年近いので、もし将来的に売ったっとしても、それはあなたの資産価値に大きく貢献してくれたということが言えるのではないでしょうか。
頼りになるエージェントを見つけましょう
独身女性が中古マンションを購入するにあたって欠かせないのが、中古マンション探しを手伝ってくれる不動産営業マン(エージェント)の存在です。
今の不動産業界を端的に説明すると以下の図のようになります。
この図を見ていただくと、売主から物件を預かった不動産仲介業者は、レインズという不動産会社だけがアクセスすることができる物件データベースシステムに掲載します。
そのレインズに掲載された物件をみた買主側の不動産仲介業者がお客様に物件を紹介したり、物件を借りて、SUUMOやAtHomeなどのポータルサイトに掲載をします。
つまり不動産業界は、どこの不動産会社からでも同じ物件を購入できるようになっています。※ちなみに非公開物件は、ほんの僅かで、皆さんが思うほど多くありません。
ですから、購入しようとしている中古マンションが、本当に独身女性にとって相応しいものかどうかを見極める目となり頭脳となるエージェントを、あなたの目でしっかり選んでおくことが、中古マンションで後悔しないために絶対的に必要な条件となります。
多くの不動産営業マンにとっては、物件を買ってもらうことがゴールで、購入したあとの暮らしがゴールになる購入者とは、そもそも目指している視点が違います。
頼れるエージェントを探すことこそが、独身女性の中古マンション購入で成功するために欠かせないことだと、ぜひ覚えておいてください。
不動産エージェントの失敗しないための探し方については、「不動産会社の選び方【住宅購入で失敗しないために】」も合わせてご参照ください。
高望みや、ありはずも無い物件を探さないように
最後に独身女性の方に注意してほしいのが、マンションに過度な期待や希望を持たないようにした方がいいということです。
筆者もこれまで年間50人を超える方の住宅購入のお手伝いをしてきていますが、男性は資産性や投資的な観点をもって住宅を購入しますが、女性は消費的な観点を持って住宅を購入する傾向が強いです。
限られた予算で自分にとって100%の物件が見つかることはなかなか少ないので、譲れるところと譲れないところをしっかり考えて、「市場に無い物件」を探し続けることがないようにしましょう。
中古マンションをうまく活用して暮らしを豊かにしましょう
ここまで独身女性が中古マンション購入で失敗しないための注意点やポイントをいろいろと説明してきましたが、いかがでしたでしょうか?
中古マンション購入は、お金のプランをしっかりたてて、何かあった時に対処しやすい物件を、頼りになるエージェントと一緒に探せば、失敗するリスクはかなりの割合で減らせます。
賃貸よりも持ち家の方が、被災した時の減免制度や、年々充実していく団体信用生命保険などのセーフティネット、住宅ローン減税で戻ってくるお金のことを考えると優位性があると考えています。
中古マンションをうまく活用することで、あなたの暮らしは確実に豊かにすることが出来ますので、ぜひここでお伝えしたポイントを意識していただき、中古マンションを購入して、あなたらしい豊かな暮らしを実現させてください。
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