中古住宅に限らず住宅を購入しようと思ったらどういった助成金や減税があるかは気になるところです。ここでは、どんな制度があってどれが自分に関わってくるのか、中古住宅購入時に利用できる補助金と減税の一覧にしてご説明します。これから住宅を購入しようとしている方にとってお役に立てていただけると思います。
ちなみにここで説明する制度は、自ら所有し、居住する住宅であることが大前提です。投資用や事業用については対象にならないのでご注意ください。
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補助金と助成金、減税の違い
制度の名前を説明する前に、基本的な補助金と助成金、減税の違いをまとめておきます。
補助金 |
一定の基準に合格することが必要で、金額の上限もあります。リフォーム系の制度に多いですが、予算○△億円とあってそれを満たしたら終了となります。 |
助成金 |
決められた要件さえ満たせば誰でもらえるお金です。お金の上限はなく、いついつまでという期限が決められているのが一般的です。 |
減税 |
何もないところからお金がもらえる補助金・助成金と違い、本来支払うべき税金を控除したり、還付を受けたりする制度です。 |
中古住宅購入時に利用できる補助金・助成金・減税の一覧
それでは中古住宅購入時に利用できる制度を説明していきます。
すまいの給付金
消費税増税に伴い創設された制度です。のちに説明する住宅ローン減税の恩恵を十分に受けられない人を対象とした制度です。条件を満たす住宅を取得した、一定の年収以下の人が対象となります。
条件を満たす住宅とは?
①売主が不動産業者の物件であること
※消費税増税に伴う制度なので、消費税がかかる物件である必要があります。売主が個人の場合は消費税はかかりません。
②床面積が50㎡以上であること
③住宅瑕疵保険など、第三者機関の検査を受けること
住宅瑕疵保険については、対象になる物件とならない物件が存在します。後から説明をする住宅ローン控除とは、適用条件が変わってきます。年々複雑化していきていますので、中古住宅の取引に慣れている業者で仲介を依頼するようにしましょう。
不動産業者について知っておきたいことや探し方については、「【住宅購入】不動産会社はどこがいいか?選び方と注意点を教えます!」を合わせてご参照ください。
物件以外の人的要件は?
④年収(自営業者は所得額)が775万円(目安)以下
住宅ローン減税の恩恵を十分に受けられない人向けの制度なので収入制限があります。目安と書いてあるのは都道府県によって前後するからです。
いくらもらえるのか?
すまいの給付金は、以下のようになります。
収入の目安 | 給付額 |
450万円 | 50万円 |
~525万円以下 | 40万円 |
~600万円以下 | 30万円 |
~675万円以下 | 20万円 |
~775万円以下 | 10万円 |
また、すまいの給付金のホームページ上にてシミュレーションをすることが出来ます。
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すまい給付金
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住宅ローン減税(控除)
その名が示す通り、支払った所得税と住民税から住宅ローンの残債額に応じて税金が戻ってくる制度です。
中古住宅においては、消費税が課税になる売主が不動産会社の時と、消費税が非課税となる売主が個人の場合で住宅ローン減税の控除額が変わります。
課税取引の場合は、10年間にわたり最大400万円(長期優良住宅の場合は最大500万円)が支払った所得税・住民税から控除されます。非課税取引の場合は、10年間にわたり最大200万円が控除されます。
ただし消費税10%への増税対策として、2020年12月31日まで住宅ローンが13年まで延長されます。
いくら戻ってくるか?
住宅ローンの控除可能額の計算の仕方
=住宅ローン年末残高×控除率1%
という計算式で計算します。最大控除額は1年につき40万円(非課税取引の場合は1年につき20万円)になります。
また税金が戻ってくる制度なので、所得税や住民税の支払額以上には戻ってきません。扶養家族が多い方や、所得を低く抑えてある自営業の方は、一般的に控除可能額よりも少なくなることがあります。
消費税課税物件の場合で、11年から13年目までは「住宅ローンの年末残高×1%」か「建物価格×2%÷3」の低い方となります。
居住の用に供した | 適用される消費税率 | 年末時点での住宅ローン残債額限度 | 最初の10年間の住宅ローン減税 | 11年目から13年目までの住宅ローン減税 |
2019年10月1日~2020年12月31日(※) | 10% | 4,000万円(認定住宅等5,000万円) 非課税の住宅(売主個人)は2,000万円 |
1% | 「住宅ローンの年末残高×1%」か「建物価格×2%÷3」の低い方 |
2021年1月1日~ | 10% | 1% | 11年目以降の住宅ローン減税は無 |
※時期の判定については、住民票で判断しますので、原則引渡しが終わっていることが前提となります。
条件を満たす住宅とは?
①床面積が50㎡以上であること
②店舗付住宅などの場合は、居住用部分が床面積の1/2以上であること
③木造住宅であれば築後20年以内、マンション等であれば築後25年以内であること
④上記の築年後要件に当てはまらないときは現行の耐震基準を満たすことを証明できること
中古住宅の場合は、築年後要件があることを覚えておいてください。またその築年後要件を満たさなくても住宅ローン減税の対象に出来ることも覚えておいてください。
中古住宅の住宅ローン減税適用を巡ってはトラブルも多く発生しています。大手の担当者でもよく分かっていない人もいるので、仲介業者に依頼する時には注意するようにしてください。
中古住宅における適用条件については、以下の関連記事も参照ください。
借入の要件
⑤住宅ローンの借入期間が10年以上であること
人的な要件
⑥年収が3,000万円以下であること
リフォームローンでも住宅ローン減税が使える?
中古住宅の購入に伴ってリフォームをすることをありますが、リフォーム費用を住宅ローンに組み込んだ場合、一定の条件を満たすリフォーム工事であれば住宅ローン減税の対象になります。
ただし住宅購入と同時に行うリフォームについては、購入物件が住宅ローン控除の適用を受けられる物件であることが条件になります。
増改築・リフォームの場合の要件
①以下の工事のいずれかに該当すること
- 増改築など建築基準法で規定している大規模の修繕または大規模の模様替えの工事
- マンション等の区分所有について行う、床や階段、または壁の過半について行うの修繕又は模様替えの工事
- 家屋の居室、調理室、浴室、便所、洗面所、納戸、玄関又は廊下の一室の床又は壁の全部について行う修繕・模様替えの工事
- 耐震改修工事
- バリアフリー工事
- 省エネ工事
②補助金の額を除いたリフォーム費用が100万円をこえるものであること
③店舗付住宅などの場合は、居住部分のリフォーム費用が全体の1/2
築年後要件以外は、住宅ローン控除の住宅要件と借入要件と変わりはありません。
工事の詳細については以下のリンクもご参照ください。
http://www.j-reform.com/zeisei/pdf/zeisei28_5-loan.pdf
「次世代住宅ポイント制度」が新設
消費税10%への増税に合わせて新設された制度が、「次世代住宅ポイント制度」です。
これは、エコ住宅や耐震性能など、一定の性能を備えた住宅を新築・リフォームを行うともらえるポイントです。
このポイントは様々な商品などと交換できるようになっています。ポイントは一戸あたり最大35万円分で、具体的な商品等は公募による決まります。
登録免許税の軽減税率
登録免許税については司法書士が行う登記手続きの時にかかってくる費用なので、あまり実感として湧きにくいですが、物件によって軽減税率が適用されます。
適用される軽減税率は以下のようになります。
登記種別 | 本則税率 | 住宅の特例税率 |
所有権保存登記 | 0.4% | 0.15% |
所有権移転登記 | 2.0% | 0.3% |
抵当権設定登記 | 0.4% | 0.1% |
違いが分かりやすいように例をあげます。
モデルケース
- 固定資産税評価額合計:1000万円
- 借入金額:2000万円
登録免許税の軽減税率を適用できる場合、
- 所有権移転登記 登録免許税:1,000万円×0.3%=30,000円
- 抵当権設定登記 登録免許税:2,000万円×0.1%=20,000円
登録免許税の軽減税率を適用できない場合、
- 所有権移転登記 登録免許税:1,000万円×2%=200,000円
- 抵当権設定登記 登録免許税:2,000万円×0.4%=80,000円
両者を比べると、登録免許税だけでも、230,000円も違ってきます。諸費用に大きな違いが出てくることがイメージしていただけるのではないでしょうか。
物件の要件は?
①住宅ローン減税にもありました築年後要件を満たしていること
同じく築年後要件を満たさない場合は現行の耐震基準を満たす証明があれば軽減税率を受けられます。
②床面積が50㎡以上であること
③市町村が発行する住宅家屋証明書を取得していること
この住宅家屋証明書については、司法書士が代行して取得するケースがほとんどです。
不動産取得税の軽減
不動産取得税とは、不動産の引渡しを受けてから約3~6か月後に請求がくる税金のことです。法務局で受け付けた書類がそのまま県税の該当部署にいくので特に手続きは必要ありません。結構忘れた頃にやってくる税金なので注意が必要です。
不動産取得税は固定資産税の計算の元になる課税標準額(固定資産税評価額)を基準に計算します。中古住宅における不動産取得税の軽減は以下のようになります。
種別 | 新築年月日 | 課税標準から控除される額 (軽減税額相当) |
中古住宅 | 昭和29年7月1日~昭和38年12月31日 | 100万円(30,000円) |
昭和39年1月1日~昭和47年12月31日 | 150万円(45,000円) | |
昭和48年1月1日~昭和50年12月31日 | 230万円(69,000円) | |
昭和51年1月1日~昭和56年6月30日 | 350万円(105,000円) | |
昭和56年7月1日~昭和60年6月30日 | 420万円(126,000円) | |
昭和60年7月1日~平成元年3月31日 | 450万円(135,000円) | |
平成元年4月1日~平成9年3月31日 | 1,000万円(300,000円) | |
平成9年4月1日以降 | 1,200万円(360,000円) | |
土地 | 平成30年3月31日まで | 取得した土地の価格×1/2を課税標準額とする |
物件の築年数が古くなればなるほど、税額が高くなります。比較的築年数の新しい物件では非課税となることが大半です。
物件の要件は?
①取得した住宅の延べ床面積が50㎡以上240㎡以下であること
②昭和57年1月1日以降に新築されたもの、またはこれに該当しないときは現行の耐震基準に適合していることが証明されたもの
住宅取得時の贈与の非課税枠
父母や祖父母などの直系尊属から、自分が住み住宅用を取得(新築・リフォーム含む)に充てる資金の贈与を受けた場合、一定の要件を満たせば、限度額までは非課税ですみます。
一定条件とは以下のようなものになります。
- 贈与者の子もしくは孫で20歳以上であること
- 年間の合計所得が2,000万円以内であること
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに自分が住む家であること
- 床面積が50㎡以上、240㎡以下であること(登記簿面積)など
贈与の非課税枠
贈与を受けたときの非課税枠は、消費税課税の物件と非課税の物件とで控除額が変わります。
家屋の取得日に関する契約日 | 省エネ等住宅 | 一般住宅 | ||
消費税率10% | それ以外 | 消費税率10% | それ以外 | |
2016年1月1日~19年3月31日 | ー | 1,200万円 | ー | 700万円 |
~2020年3月31日 | 3,000万円 | 1,200万円 | 2,500万円 | 700万円 |
~2021年3月31日 | 1,500万円 | 1,000万円 | 1,000万円 | 500万円 |
~2021年12月31日 | 1,200万円 | 800万円 | 700万円 | 300万円 |
※1「一般住宅」とは、すべての物件が対象になるわけではなく、住宅ローン減税と同じように築後年数要件を満たすか、一定の耐震基準を満たすことを建築士が証明された住宅であることなどが条件になります。
※2「一定基準を満たす住宅」とは、「断熱等性能等級4または一次エネルギー消費量等級4以上」、「耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上または免震建築物」、「高齢者等配慮対策等級3以上」のいずれかを満たす住宅となります。
中古住宅の購入時における優遇策は似たような条件が多い
いかがでしたでしょうか。見ていてお気づきの方もいるかもしれませんが、中古住宅購入時に利用できる補助金・助成金・減税には似たような条件が多いです。
気を付けておきたいのは築年後要件、もしくは現行の耐震基準に適合する証明が取れるかどうかの2点です。この2点さえ気を付けておけば中古住宅の購入に関わる優遇策を利用することが出来ます。
ただし読んでいてお分かりになると思いますが、年々税制の仕組みなどが特に中古住宅を中心に複雑化してきています。
物件の見極めや証明書の取りつけの可否など、中古住宅の取り扱いに慣れたプロでないと難しい部分もあります。さらにリフォームやリノベーションを住宅取得と合わせて行いたい時は、より多くの制度が関わってくるので、業者選びが肝になります。
是非ご自身でもポイントを抑えながら、適切な不動産仲介業者を選ぶようにしましょう。
不動産仲介業者の選び方については、関連記事「不動産会社はどこがいいか?選び方と注意点を教えます!」も合わせて参照ください。
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